古くから漆は、漆器はもちろんのこと、扇子や仏壇仏具、家具や建具など幅広い品に使われてきました。
また漆は単に目に見えるところに使われているだけではなく、漆の持つ特性を利用して、接着剤としても活用されており、例えば金箔押しや染色分野の型染めなど、一見漆とは関係のない分野でも材料として使われてきました。

そして京都は、そのような工芸品の最も発展した土地であり、漆に対する需要も大きなものになっておりました。

当社は、そんな京都の地で江戸時代末期の文政年間(1918年~1930年)、漆の仕入れから精製・販売を生業とする漆商として創業しました。以来、漆を必要とする全てのお客様のニーズにお応えできるよう、日々精進してまいりました。

現在でも、いわば漆のエキスパートとして、これまでに培ってきた経験やノウハウを活かして、漆をご提供しております。

漆の特徴

  1. うるしの木から採取される「天然素材」
  2. 漆ならではの「深みのある色合い」、「艶・光沢」
  3. 塗膜が硬く、酸・アルカリにも強い
  4. 様々な用途、機能性に優れる

うるしの木から採取される天然素材である漆は、その深みのある色合いや艶、光沢など、他の追随を許さない塗料です。
また塗膜が硬く、酸・アルカリに強いなど、機能性にも優れた最高級の塗料と言えます。
(但し、紫外線には弱いので、屋外の使用には不向きです)

漆の用途

漆器、お箸、家具、建具、神社仏閣の建物、仏壇仏具、扇子その他木製品全般。
また、焼付けなどの技法により、陶器などにも使用できます。

商品リスト

商品名 容量 備考(別名)
上生漆 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg) 瀬〆、下地漆
艶箔下 黒/赤 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
消箔下 黒/赤 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
中塗 黒/赤 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
本黒 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg) 上塗黒、上花、真塗
朱合(透) 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
呂色 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
梨子地 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
箔押 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
色漆
日本産入 上摺(伊勢早) 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
日本産呂色 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
日本産梨子地 0.1、0.2、0.4、0.5、1、2、4(kg)
漆1

漆2

  • 0.1、0.2(kg)はチューブ入り、他は桶入り。
  • 容量によっては在庫がない場合もございます。
    まずはお問い合わせください。

漆の基礎知識

文政年間の創業、”漆のエキスパート”井助商店。
こちらのページでは、漆の基礎知識を掲載しています。ぜひご一読ください。

「漆(うるし)」って何?

漆の木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。
この漆液をろ過し、木の皮などの取り除いたものを「生漆(きうるし)」と呼びます。
これが一般的な漆の元になるもので、このままでも摺り漆(すりうるし)として使われます。

漆の木は、日本や中国、東南アジアなどで生育し、以前は日本各地で漆を生産したようですが、現在では日本で使う漆の90%以上が中国から輸入されたものです。日本産の漆は希少で価格も高い(中国産の5倍程度)ので、主に神社仏閣の補修などに使われています。

漆

漆は天然のものですから、採取した国や産地により、また採取した年代や時期によって、漆の成分が異なり、粘度や乾きの早さなどの性質が違ってきます。
それらの性質を把握し、異なる漆を組み合わせるなどして、使用目的にあった適当な漆を作り出すことが漆を扱うノウハウとなります。

漆の精製作業

生漆にナヤシ(かきまぜて漆の成分を均一にする)やクロメ(加熱して余分な水分を取り除く)といった精製作業を行い、精製漆を作ります。
この漆は、透明な飴色で「透漆(すきうるし)」と呼ばれます。

また、精製作業において鉄粉をまぜ、酸化作用により漆を黒くしたものが「黒漆」で、皆さんが良く知っておられる黒い漆になります。

さらに、この「透漆」や「黒漆」に油分を加えて艶のある漆にしたり、「透漆」に顔料を加えて、朱や緑といった「色漆」をつくったりします。

漆の成分

漆はウルシオールという樹脂分が主成分で、その他に水分、ゴム質、酵素などを含みます。
この成分の割合は、採取される国によって異なっており、それぞれの漆の性質の違いになってきます。

例えば、日本とベトナムで採取される漆では、主成分のウルシオールの割合が大きく異なり、日本が2倍ほど多くなっています。

日本で使う場合、日本の漆の品質が最も良い、とされるのは、元々日本の気候や風土にあった成分の漆が採取されるからだと考えられます(もちろん、採取した後のろ過や精製工程の差もあります)。

漆の乾くメカニズム

漆が乾くメカニズムは、一般的な「乾く」という概念とは大きく異なります。
一般的に「乾く」というのは、水分が空気中に蒸発する、というイメージがありますが、漆は全く逆で、空気中の水分を取り込んで乾きます。

漆が乾くというのは、成分の酵素(ラッカーゼ)が、水分の中の酸素を取り込んで反応し、ウルシオールが液体から固体になっていくことです。ですから、漆を乾燥させるには、温度が25~30℃、湿度が70%程度が最も良いとされ、日本では梅雨時期が最も乾燥が早くなります。梅雨時期や夏場は気候的にも乾きやすくなりますが、
それ以外の時期でも漆を乾かすため、「漆風呂」「むろ」と呼ばれる漆用の乾燥室を使います。

密閉できる棚のようなもので、下部に濡らした布を置き、湿度を調整します。
最も簡単な「むろ」としては、衣装用のプラスチックケースを使い、やはり下部に濡らした布を 置き密閉します。

漆の塗膜の特徴

漆塗りというと、扱いにくい、はがれやすいといったイメージがありますが、これは全くの間違いです。

漆の塗膜は堅く、また非常に柔軟でもあり、現代の一般的な化学塗料よりも強靭で優れた性質をもっています。
酸、アルカリ、塩分、アルコールにも強く、また耐水性、断熱性、防腐性なども高い ということも 特徴です。
また、接着剤としても優れており、陶磁器を修復する「金つぎ」や、染型を作るときに紗に型紙を張る工程などで、古くから接着剤として漆が使われてきました。

ただ、漆は紫外線にはあまり強くありませんので、屋外で使用する際には塗り替えなどが必要になってきます。漆塗りの漆器を保管する場合でも、直射日光を避けた方が良いでしょう。

また、漆は乾くのに時間が掛かるという特徴があります。
このために1つの漆器を塗り、仕上げるためにも長く時間が掛かってしまうのですが、逆に漆がゆっくりと乾くことを活用して、蒔絵や沈金といった漆塗り独特の加飾が可能になるのです。

「漆黒」という言葉

「漆黒の闇」とか「漆黒の髪」といったように、 深みがある黒や光沢のある黒をあらわす時に「漆黒(しっこく)」ということばを使います。
辞書で調べると、「漆のように黒く光沢のあること。また、その色。」(「大辞林 第二版」より)ということなのですが、この言葉は、実は漆のある特性をよく表している言葉だと思います。

上記で説明させて頂いたように、精製された漆は、元々茶色がかった透明をしており、黒以外の色漆(朱色など)は、
この透漆に顔料を混ぜることで色を出すのです。
ただし黒色だけは、精製の段階で鉄分を混ぜ、鉄の酸化作用によって、漆自身が黒色に変化したものなのです。
いわば漆の黒色は他の黒色とは異なり、漆でしか出せない 漆特有の黒色、「他にはない黒」ということになります。

ですから、その深みがあり光沢のある黒色を、漆独特の黒色になぞらえて「漆黒」と呼ぶようになったのでしょう。

はじめてこの話を聞いたとき、漆や漆器に携わる身として、「他にはない黒」というフレーズになぜか嬉しくなったのを覚えています。漆器の艶やかな黒を見るとき、ちょっとこの話を思い出して頂ければ嬉しいです。

漆の色合い

黒以外の色は、「透き漆」というベースになる漆に 顔料を混ぜてできるのですが、元々この「透き漆」があめ色がかった半透明をしているため、
いくら顔料を混ぜても、淡い色合いを出すことはできません。

ですから、一般的な漆の色合いとしては、朱(いわゆる赤色)、洗朱(オレンジのような色)、緑、黄色などで、どれも濃い目の色合いになります。

そして、漆では淡い色合いがでない、という最も端的な例は「白漆」です。
これも、ベースの漆のあめ色に白の顔料を混ぜるのですから、決して真っ白にはならず、いわゆる「ベージュ」のような色になります。

このことを知らずに白漆の塗られた漆器を見られた方は、間違いなくその色を「白」というふうには表現しないだろう、と思います。

ですが、この「白漆」の色は、なんとも落ち着いた色合いで、ひとつの独立した魅力的な色合いとなっています。

この本当の「白」ではないけど「白漆」の「白」という 独自の色合いを楽しむ、というところが、また漆の面白いところかもしれません。

ただこの白漆はくせもので、顔料の混ぜ方はもちろん、塗り方や塗った時の温度や湿度などの環境の違いで、 色合いが異なってきます。
このあたりが、塗師屋の腕の見せどころでしょうか?